金がない。具体的には六万円足りない。これっぽっち、と思われるかもしれないが月給わずか五万円程度の学生には大変な額である。夏休みを活かしてバイトをすれば、とも思われるだろうが全くその通りである。こんな文章を書いていないで働きに出たらどうか。しかし残念ながら働き口も働く気力も足りていないのである。
順を追って話そう。私は現在、とあるボードゲームカフェで働いている。お店に300種類ほどあるゲームを覚え、お客さんに紹介するのが主な仕事だ。と言ってもまだ半分程度しか覚えられておらず、日によってお客さんの数もまちまちなのでただ店を開けてのんびり過ごして帰るだけ、という日も少なくない。その割に給料は良いので、職を変える気はさらさらない。
しかしシフトの数が問題で、そもそも営業しているのが木曜から日曜という週末だけであるために、競争率が高い。シフト希望をすべて◎で提出しても、入れるのは半分程度である。結果、月給僅か五万円という境遇に陥っている。
ならば空いた時間にダブルワークでもすればいいと思われるかもしれないが、このご時世にシフトを自由に調整できるバイトは少ない。平日のみ営業、なんてところがあればいいが、学校との兼ね合いもあるため探すのが非常に面倒だ。注文を付ければ付けるほど仕事は限られてくる。残るのは警備や清掃、仕分けに要資格の仕事と私には向かない仕事だけが残るのである。
そういうわけで、月給五万のボードゲームカフェに縋りついているのが現状で、稼ぐ以上に金を遣う親譲りの性質のせいで金がない。具体的には六万円足りない。これは秋学期に支払わないといけない学費の不足分である。いやはや、どないせいっちゅうねん。
いやいや、どないせいっちゅうねんではなくて、働けばよろしいとツッコミを入れたくなるだろう。日勤でもなんでもすれば、六万円ぐらいどうってことはないはずだ。かくいう私も、かつてニートだった頃にタイミーだけで働いていた時期があった。都内の洗い場を転々とする生活で、これがまた大きなストレスであった。まずタイミーは競争率が激しいため、目当ての仕事にありつくには一日中スマホにつきっきりになる必要がある。そして運よく仕事が決まっても、次に待っているのは職場ガチャである。大抵の職場は良い所ばかりだったが、名前を剥奪され「タイミーさん」として生きる生活は、じわじわと気持ちを蝕んでくる。仕事が決まっていた朝も起きてみたら頭痛が止まらなかったので仕事を直前にキャンセルして、見事ブロックされたなんてこともある。その点、シフト制で働ける長期バイトは非常に恵まれている。そういうこともあって、今の職場からは離れたくない。
ではどうすればよいのか、と暇な勤務時間に考えていたのだが、大きく分けて三つほど道がありそうだ、という結論に至った。
まず一つは、しばらくタイミーにありついて日給を稼ぐ生活をする、という道である。幸い八月後半には予定が少なく、九月頭までの三週間程度はボードゲームカフェで働きつつ単発バイトができそうなのだ。土日はボドゲカフェに通い、平日は週二~三回タイミーで働けば、その期間中に四、五万程度は稼げるだろう。残る二万円弱は学校が始まって以降の休日にタイミーで働けば間に合うはずだ。
二つ目は、八月後半から新しくバイトを始める、という道筋である。タイミーではなく、短期かそれ以上のバイトを始めて、秋学期以降も継続して安定した収入を得る、というものだ。うまくバイトが見つかれば一番安定していて一番身にもなる筋立てだが、「うまくバイトが見つかれば」という前提が非常に厄介である。これには一番気力がいる。そこに至るまでに足踏みをしているのが現状だ。
そして三つ目が、ボードゲームカフェのバイトのみ継続し、不足分の六万円は父親に借りる、という選択である。逃げの一手かもしれないが、現実的にはこれが一番妥当なのである。というのも、次の秋学期で卒業に必要な単位数を揃えようと考えているため、学業とバイトのバランスを今は崩したくないのである。秋学期以降にインターンやら学生バイトやらをする気ではいるので、この夏休みに長期バイトを始めるわけにはいかない。そういうことで、今はこの第三の選択に甘んじている。
……のだが、いずれにせよ金が足りない現状は変わっていないので、やはりどうにか働き始める必要がある。ひとまず来週のお盆期間に連勤の予定があるので、それを終え次第、もう一度考えたいと思う。おそらく、タイミーを再び始めるかインターンやら学生バイトやらの期間を前倒しにして始めてしまうかのどちらかになるだろう。全く、生きるというのには金がかかる。厄介なものだ。