ワーカホリック

 ボードゲームカフェで働いている。主な業務内容は、お客さんが好みそうなボードゲームを選定・おすすめし、ルールを説明することだ。アパレル店の店員が商品を薦めてくるのと構造は同じである。とはいえ、こちらはゲームを販売しているわけではないので少し性質が違うものなのかもしれない。

 お盆期間特別営業ということで、普段は週末しか営業しないところを丸々一週間毎日営業するということだった。シフトをすべて◎で提出したところ、月曜日から木曜日まで、一日五時間ずつ四連勤することになった。
 このバイトを始めてもうすぐ一年になるが、正直これ以上の天職は無いと感じている。メサイアコンプレックスというらしいのだが、他者のために働くことがそれほど苦ではないのである。それと、仕事内容をある程度ルーティン化できるのも良い。お店にあるゲームの数は300と多いが定番のゲームは50種程度であり、紹介の仕方も定型文を作ってしまえばなんとかなる。定番ではないゲームに関しても、定期的に開催されるスタッフゲーム会で遊んでみることである程度ルールを把握できる。文字通り「遊び感覚で」だ。
 さらに、基本ワンオペであるため社員や同僚といった人物の監視の目がないのも良い。どうにも昔から人の目が苦手だ。他人の細かな一挙手一投足が気になって仕方がない。衆目を浴びる場など尚更である。その性質のせいで、飲食・レジ打ち・都心での仕事はうまくいかなかった。ついでにピアノの発表会もうまくいったためしがない。その点、ボードゲームカフェでは客との一対一でのコミュニケーションが主なので心理的に楽だ。それに、他人の目が気になる性質がお客さんへの気配りという面に活かされている気がする。

 さて、そんなボドゲカフェでの四連勤を終え、今日は久々の休日……なのであるが、どうにも落ち着かない。何をするにも手持無沙汰感が否めないというか、スイッチが入らないのである。できることなら、出勤してボードゲームを紹介もとい「押し付け」たい。ワーカホリックってやつか、と齢二十と少しにして知った。こんな感覚は初めてである。今までにやったバイトはだいたい苦痛で、休日は「二度と働きになど行くものか」という気持ちに苛まれたものだ。それが打って変わって「働きに行きたい」とまで思わせるのだから、やはり天職なのである。

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